2025年1月にトランプ大統領が就任して以来、米国への輸入品に対して数多くの関税が発表されました。
ほとんどの国に対する報復関税は4月初旬に発表されたものの、現在は一時停止されています。しかし、アジア太平洋地域の多くの市場では、依然として最低10%の関税が課されています。中国は最も高い関税率に直面していますが、5月12日に発表された米中共同声明により、米国の対中関税率は一時的に145%から30%に引き下げられ、今後90日間は両国間の継続的な交渉の結果を待つ形となっています。
2024年に中国は米国にとって3番目に大きな貿易相手国であり、アジア太平洋地域の他の5市場もトップ10にランクインしています。
アジア太平洋地域全体で米国との物品貿易の3分の1を占めていることから、同地域への影響は避けられません。
当社の最新レポート「Viewpoint」では、2025年5月13日時点OEJPの分析に基づき、関税がアジア太平洋地域の経済、物流、オフィス、市場投資に与える影響を評価しています。

経済への影響:
アジア太平洋地域の経済成長は、今年は鈍化する可能性が高いと予測されます。影響の程度は地域によって異なりますが、中国や東南アジア諸国が特に大きな打撃を受けるとみられます。
投資への影響:
一方では、地域の経済成長の減速や短期的な市場の不透明感が高まることにより、投資家が関税政策の見通しが明確になるまで様子を見る可能性があります。
他方では、利下げの道筋が明確になることが、不動産投資の活性化につながる可能性もあります。
物流への影響:
提案されている関税の影響で、アジア太平洋地域における産業・物流の賃貸市場のセンチメントは慎重な姿勢に転じています。一部の企業は新規プロジェクトを延期したり、ポートフォリオを統合したりしていますが、多くはまだ影響を評価中であり、「様子見」姿勢をとっています。
オフィス市場への影響:
アジア太平洋地域のオフィス市場には、関税による直接的な影響は限定的です。しかしながら、今後数カ月間にわたり、テナント企業はより慎重な姿勢をとることが予想されます。